「三度炊く 飯さえ硬し 軟らかし 思うままには ならぬ世の中」
北大路魯山人の歌として広く紹介される一首です。ただし今回の調査では、魯山人自身の著作・書・歌集など、具体的な一次資料の出典箇所まで特定できませんでした。
結論:魯山人作としては現在「要検証」
インターネット上では長く魯山人の言葉として流通しており、2000年代から同じ形で引用されている例も確認できます。一方で、引用の多さと原典確認は別です。
現時点では「北大路魯山人の歌として広く流通しているが、一次出典は未確認」とするのが安全です。
旧記事で推測していた「背景」は確定できない
旧記事では、魯山人が料理に厳しく、理想どおりに米を炊けない経験からこの歌が生まれた、と説明していました。しかし、出典が確認できていない以上、その成立事情まで本人の経験として語る根拠はありません。
「魯山人らしい」と感じることと、「魯山人がこの経験から詠んだ」と確認できることは分ける必要があります。
言葉そのものを読む
作者の確定とは別に、歌の構造は明快です。毎日のように行う炊飯でさえ、硬さや軟らかさを完全には思い通りにできない。その小さな不確実さから、「世の中は思うままにならない」へ飛躍します。
壮大な人生論ではなく、飯を炊くという生活の手触りから不確実さを語るところに、この言葉が残りやすい理由があります。
出典状態
要検証。北大路魯山人の作として広く流通していますが、今回確認した範囲では本人の一次資料・具体的な掲載作品を特定できませんでした。原典が確認でき次第、判定を更新します。